ナナ(PFFK)
精霊にだけは優しい青年。相棒であり息子であり想い人のニーヴェルと共に旅をしている。
彼(彼女?)の正体は、生まれたかった命、死にたくなかった命がたくさん集まってひとつの大樹となったもの。
生まれはリベリスの外れにある孤島。最初は小さな木で、生まれることができなかった男性の魂が宿ったことで人格を得た。その後も少しずつこの世に未練を残した魂が集まっていき、それに呼応するように木も成長していき、数多の力が宿ることで精霊となった。
どこに行くこともできず、誰と会うこともなく、孤独なまま過ごしていた中で出会ったのがニーヴェル。彼もまた孤独で、人工的に精霊を生み出す実験で失敗した存在。精霊のなり損ないを自称するように、大した力も持たず、誰からも相手にされず、純粋な心に少しずつ寂しさを重ねていった。ゴルベイルの戦火から逃れるためにのろのろと飛んでいった先がナナのいる孤島。
ふたりはお互いの寂しさを埋め合うように親しくなっていき、次第にお互いを大切に思うようになっていく。
やがてゴルベイルの戦火がふたりのいる場所にも届く。闇の者のひとりであるアルカンスの攻撃から身を守るためにニーヴェルは命がけで防壁を貼り、その結果命を落とす。ナナは死んでしまったニーヴェルの体に自分の魂を写し込み、死にたくなかったニーヴェルの魂を、元のニーヴェルの髪を使って蘇らせた。そうして生まれたのが狼の姿の、正真正銘「精霊」のニーヴェル。しかし、愛していたニーヴェルを殺されたナナの怒りは収まらず、ゴルベイルに復讐する旅に乗り出す。
狼のニーヴェルは生前の記憶がないように振る舞っているが、実はすべて覚えている。彼も孤独に悩まされた身で、「もし元のままの自分が今ここにいて、ナナが旅をする理由がなくなったら一緒にいられなくなるのか?」と、ありもしない不安を抱えていたため、あくまでナナを「ニーヴェルを失った」状態にして旅をする理由にしている。これが杞憂だったと知るのはあとの話。
ドゥネル(水)→死にたくなかった命。愛したはずの男に裏切られた。
ティニス(太陽)→生まれたかった命。母親が中絶。
オルドア(剣)→生まれたかった命。卵の状態のまま人間に潰されたカエルの子。
アーガル(炎)→死にたくなかった命。家族を庇って絶命。
ヌイ(闇)→生まれたかった命。生まれる前に母親が絶命。
ベルレント(雷)→死にたくなかった命。生まれた精霊の中で生前最も凄惨な最期を迎えた。