アンリ(ニダンギル♂)
慎重な性格。
太古のカロス、クセルクス(ゼルネアス♂寄)とイヴェット(イベルタル♀寄)が大王と教皇だった時代の「大切な意思」を次ぐ一族の末裔。
それについては後述。
幼い頃に奴隷狩りに遭い、ジャンたちの一家に拘束される。一家はかなり極端な選民思想持ちで、人とは生まれたときから使う側と使われる側に分かれているという考え方だったため、奴隷に対する容赦が一切なかった。少しずつアンリも洗脳されていき、次第に彼は「自分は一生使われる側で、支配する側からは逃れられない」と思い込むようになっていった。
そんななか、一家で唯一選民思想を持たず、一方的な搾取と支配に疑問を持ったジャンが奴隷たちを一斉に解放し、アンリもそれに紛れて逃げようとした。が、彼の心に染み込んだ「自分は逃げられない」という意識から遠くに逃げることはできず、その直後に別の組織に捕まっている。
そこではひと通りの洗脳が済んだあとで生体実験の被験者にされ、右腕に大きな剣を埋め込まれた。その影響で右半身、特に右目も損傷している。元から奴隷だったアンリの調教は非常に簡単で、間もなく戦場に出ることになる。
すると種族柄の実力を買われて、奴隷の身でありながら奴隷を狩る役目を負わされる。
奴隷狩り奴隷、通称「奴隷大将」。
人を不幸にすることに引け目を感じつつも支配者への抵抗はせずにいた。
少年と青年の境目の年齢になったとき、自分を支配していた一家の三男坊、ジャンと再会する。彼を始末するよう命令されたアンリだが、百戦錬磨のジャンには到底及ばずに翻弄される。自分が支配される側であることへの愚痴を吐くと、ジャンに「テメェの根性のなさを支配者のせいにするな」と一喝される。
その後組織が崩壊し、ジャンに誘われてチーム入り。最初のうちはそれを支配だと思っていたが、ジャンやオリヴィエ、他のメンバーと関わるうちに自分が「人間」として扱われているのだと気付き、戸惑いながら人間らしさを取り戻していく。
同じ施設にはジュリエットがおり、マリーはアンリ自身が奴隷として攫っている。
彼が受け継ぐ大切な意思は、いずれ再び現れる大王にクセルクスとイヴェットが目指した世界を伝えるもの。ふたりがつくろうとした世界はどんなものか、カロスはどんな国だったか、なぜふたりは永い眠りに就くことを選んだのか。クセルクスの意思とイヴェットの意思とはまた別で、ふたりに使えた側近のギルガルドが世代を跨いで伝えてきた。アンリはクセルクスの意思を継ぐのがシャルル、イヴェットの意思を継ぐのがジャンだと信じ、ふたりに意思を託した。
いずれ訪れる理想郷の時代を待ち望んでいる。